【議事録の概要】

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(1)議事録とは

合議体における会議の内容をすべて正確に記録した文書、議事の内容・審議経過・議決事項などを記録した会議録といわれています
    
議事録は、話合い、会議における中身並びに協議の内容・経緯・その結論を記録し保管することにあります。

 

    各会議の風景

 会議には、家族会議、サークルの会議、会社の会議その他さまざまな会議や株主総会、取締役会といった法律上開催が義務化されている場合もあります。

このように様々な会議が開催されますが、議事録は、会議の経過や結論を記録し保管することによって会議の証拠となります。

後日に会議内容の確認、また会議に参加していない人に対しても、会議の内容を告知することができます。

発言内容について、言った言わないとの紛争の事前防止に役立つことになります。

(2)会社法における議事録    

① 企業では、さまざまな会議が開催されています。経営層のおこなう役員会議、経営戦略会議や部門内の会議や課のミーティングが行われています。

株式会社は、株主総会・取締役会・監査役会などが開催されたときは、議事の経過及び結果を記録した議事録を作成する必要があります(会社法第318条、会社法第393条)。

 

                             企業では各議事録が作成されます!

◆令和2年(2020年)4月現在、新型コロナの影響により密集する会議の自粛が要請されています。企業の規模を問わず定時株主総会の準備、開催時期等について検討されていると思われます。

法務省の定時株主総会開催について指針によりますと、「定時株主総会の開催時期に関する定款の定めがある場合でも,通常,天災その他の事由によりその時期に定時株主総会を開催することができない状況が生じたときまで,その時期に定時株主総会を開催することを要求する趣旨ではないと考えられます。


したがって,今般の新型コロナウイルス感染症に関連し,定款で定めた時期に定時株主総会を開催することができない状況が生じた場合には,その状況が解消された後合理的な期間内に定時株主総会を開催すれば足りるものと考えられます。

なお,会社法は,株式会社の定時株主総会は,毎事業年度の終了後一定の時期に招集しなければならないと規定していますが(会社法第296条第1項),事業年度の終了後3か月以内に定時株主総会を開催することを求めているわけではありません。」と提示しています(法務省ホームページ  株主総会開催時期から引用)。

② 株主総会の議事については、議事録を作成しなければならない、と規定されています(会社法第318条1項)。

これは、株主総会の議事が行われたことについて証拠、記録として意味合いにおいて作成が求められるものであり、株主総会が開催されない以上、株主総会議事録を作成する必要はなく、定款で定めた時期に定時株主総会を開催することができない状況が解消された後の合理的な期間内に定時株主総会を開催すれば足ります。

よって、新型コロナの影響が解消された後に、合理的な期間内に定時株主総会を開催し、その後に株主総会議事録を作成することになります。

 株主総会、取締役会、監査役会の決議は、決議が成立することによって効力が生じますので、議事録
作成していない場合でも株主総会、取締役会、監査役会の内容・決議に影響を与える事ないとされています。

議事録に記載記録しなければならない事項を記載、記録していないときは取締役等100万円以下の過料に処せられことがあります。   

過料とは、刑法上の刑罰である科料とはことなり、刑罰ではありません。同じ「かりょう」と読むために過料を「あやまちりょう科料を「とがりょう」読んで区別しています。

また、代表取締役や取締役が交代したときは登記事項に変更が生じます。したがって変更登記を行う必要ありますが、商業登記申請の時に、各議事録が添付書類として要求されています。


③ 議事録備付の義務及び場所
株主総会、取締役会、監査役会の各議事録は、議事録作成後に会社の本店、支店に備え付けなならないとしています。

 

a 株主総会議事録

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株式会社は、株主総会の日から10年間、その本店に株主総会議事録を備え置かなければならないとされています。

 

また、株式会社は、株主総会の日から5年間、その支店に株主総会議事録を備え置かなければならないとされています(会社法318条2、3項)。


b 取締役会議事録

 取締役会を置く会社若しくは会社法によって取締役会の設置が義務付けられている会社は、取締役会設置会社と呼ばれています。  

 

 

取締役会設置会社は、取締役会の日から10年間、本店に取締役会議事録を備え置かなければならないとされています(会社法371条)。

← 取締役会の風景

c 監査役会議事録
監査役会設置会社は、監査役会の日から10年間、本店に監査役会の議事録を備え置かなければならないとされています(会社法394条1項)。


なお、会社法の要求に反して株主総会議事録、取締役会、監査役会議事録を備え置かなかったときは、100万円以下の過料に処せられますので注意が必要です。

 

 

 

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  議事録の閲覧、謄写
株主総会、取締役会、監査役会の各議事録について、株主会社債権者は、営業時間内 において議事録の閲覧や謄写の請求ができます。

株式会社は、株主や債権者から議事録の閲覧請求があった場合は、原則として株主、債権者に対して議事録を閲覧、謄写に応じなければならないとされています。

 

この権利は、株主や債権者が自己の権利を保護するために必要な情報を得るために認められました。


a 株主総会議事録
株主及び会社債権者は、株式会社の営業時間内は、いつでも株主総会議事録の閲覧、謄写の請求ができます。

さらに、親会社の株主その他の社員は、その権利を行使するために必要があるときは、裁判所の許可を得て子会社の株主総会議事録の閲覧謄写の請求ができます(会社法318条4,5項)。


b 取締役会議事録
株主は、その権利を行使するために必要があるときは、株式会社の営業時間内はいつでも、取締役会の議事録の閲覧、謄写の請求ができます。

監査役設置会社または委員会設置会社の場合は、裁判所の許可が必要です(会社法371条3,4項)。

取締役会設置会社の債権者が、役員または執行役の責任を追及するために必要があるときは、裁判所の許可を得て取締役会議事録の閲覧、謄写を行うことができます。

さらに、親会社の株主その他の社員が、その権利を行使するために必要があるときも同様とされています(会社法371条4、5項)。

 もっとも、裁判所は取締役会議事録の閲覧、謄写をすることにより会社またはその親会社若しくは子会社に著しい損害を及ぼす恐れがあると認められるときは、許可することができないとされています。

  
c 監査役会議事録
株主は、その権利を行使するために必要があるときは、裁判所の許可を得て監査役会議事録の閲覧、謄写の請求ができるとされています。

また、監査役会設置会社の債権者が、役員の責任を追及するために必要なとき、親会社の株主その他の社員がその権利を行使するために必要があるときも同様とさています(会社法394条2、3項)。

 

 しかし、裁判所は監査役会議事録の閲覧、謄写をすることによって当該会社またはその親会社若しくは子会社に著しい損害を及ぼすおそれがあると認められるときは、許可するできないとされています(会社法394条4項)。

  
なお、会社法の要求に反して正当な理由がないにもかかわらず株主総会議事録、取締役会、監査役会議事録の閲覧、謄写の請求を拒否した場合は、100万円以下の過料に処せられます(会社法976条四号)。

  
③ 議事録作成時期
株主総会、取締役会、監査役会の議事録を何時に作成するべきかに関しては、会社法上において規定はありません。

しかし、株式会社の登記事項に変更が生じたときは、その変更内容(例えば取締役の就任・重任・退任等)を登記しなければならないとされています。

また、議事録は、変更登記を申請するときに添付書類として登記所に提出する必要があります。
 登記事項に変更があったときは、2週間以内に本店所在地において変更の登記をしなければならないとされています(会社法915条)。

したがって、株主総会議事録、取締役会議事録、監査役会の各議事録は、できるだけ早く作成するべ きですが、最低でも株主総会等が終了日から2週間以内に作成する必要があります。


④ 議事録の作成方法
株主総会、取締役会、監査役会等の各議事録は紙の書面で作成する他に電磁的記録によっても作成することができます(会社法施行規則72条2項)。

電磁的記録の内容は、磁気ディスクその他これに準ずる方法により一定の情報を確実に記録しておくことができる物をもって調整するファイルに情報を記載したものを言うとされています(会社法施行規則224条)。

具体的には、フロッピーディスク・CDRーROM・OMDVDーROMICカード・メモリースティク等です。

  
(3)議事録を電磁的記録で作成したときの特色 

① 電磁的記録で議事録を作成したときは、署名または記名押印に代わるものとして、電子署名が行われます電子署名は、紙の書面で作成したときの印影に該当するといえます。

 電子署名とは、電磁的記録に記録することのできる情報について行われる措置であって、当該情報が当該措置を行った者の作成に係るものであることを示すためのものであること、当該情報について改変が行われていないかどうかを確認することができるものであることに該当するものをいうとされています(会社法施行規則225条2項)。

② 電磁的記録で議事録を作成したときは、閲覧または謄写は、紙の書面のように議事録を閲覧、謄写するすることはできません。

 

そこで、電磁的記録によって作成された事項を紙面または出力装置の映像画に表示する方法がとられます。

そして当該議事録のみをパソコンの画面に表示し閲覧、謄写を行うことになります(会社法施行規則226条)。

 PC上で議事録を閲覧

③ 議事録を作成したときは、株主総会議事録は、株主総会の日から10年間、その本店に株主総会議事録を備え置かなければならないとされ、また5年間、その支店に株主総会議事録を備え置かなければならないとされています(会社法318条2、3項)。

しかし、株主総会議事録を電磁的記録で作成ときは、電磁的記録により作成された株主総会議事録がサーバに保管され、インターネット等を通じて支店のパソコンの画面にダウンロードされて閲覧できる状況であれば、支店における備え付け義務は免除されます会社法第318条3項)。

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