【知的財産権とは】

(1)知的財産権の概要
  ① 「知的財産権」とは、と聞かれても、いったい何のことか、また、「何それ」と思う方も
  いるのではないかと思われます。

  知的な財産権、日常的に使われている財産権とどこが異なり、何を意味するのでしょうか?
  非常に分かりにくい言葉、用語です。

  例えば、病気を治す新薬、自動車のエンジン、音楽、小説、自動車のデザイン、ロゴ、製品
  名等は、日常生活では、ありとあらゆる所でお目にかかります。

    病気を治す新薬の開発には、製薬会社が多くのお金時間をかけて作ります、小説は作
    家、専門書は研究者、音楽は作曲家が自分の頭で考え工夫を凝らし、苦労して時間をか
    て世の中に送り出します。

     例えば、自動車のデザインや携帯電話の色、形等のデザインも、会社が多額の費用をかけて開
   発います。


  このように、社会にある様々な品物等は、製作者・作家・デザイナー等の人々が自分で考えて
   調査を行い、工夫して作り出されたものです。そこには、多くの考える時間、労力、お金がか
  かっています。

  
  人が新たに便利な、役に立つ製品を世の中に送り出すことにより、社会は豊かな社会生活を営む
  事ができています。


  ところで、自分で考え調査し、多くの時間お金労力を使いアイデア・小説等の表現を社会
  や世間に発表したにもかかわらず、何の法的保護を受けずに真似され、さらに対価である 
  金銭の支払い、対価が全くない としたらどうなるでしょうか

  例えば、作家が小説を、製薬会社が新薬を発表したとき、小説はまねされ放題、新薬も他の製薬
  会社が真似をして販売している状況があった場合です。

 

  お金が作家、製薬会社に払われていない、利益が還元されていない、このような状態では
  誰も、貴重な時間と労働力、身銭を使い新薬等のアイデア、小説や音楽等の表現を世間に
  送り出そうと思うのでしょうか?

  誰も、思わないと思います!

  アイデアである製品の開発、表現である小説、音楽等の作成にかかった多くの時間や労力
  多額のお金、投下投資の回収ができなくなり、
アイデアや表現をもって社会の役に立とう、
  貢献しよう思い・意欲はなくなります。


  会社・個人が自分の頭で考え工夫し、苦労して時間をかけて創作したアイデア、表現は
  法律上、経済上も保護され且つ報われなければならないと思います。
  

  やはり、会社、個人が苦労し、時間をかけ、多額の金額を投資してアイデアを商品とし、小説
  や音楽等の表現を世間に送り出したときは、法律上、保護されてマネはできない、もし他の個
  人や他の企業がマネしたい、利用したいと思う場合は、対価である金銭を支払うという状態が
  法的に確保されている必要があります。
  
  
  自分の頭で考え出された、知的な労働、創造が法的に保護され、経済的、金銭的にも保護され
  いる事で、会社・個人はアイデア・表現等の知的な創造を行い、これによって産業・文化が発
  展し国が発展して行く事になります。

  
  そして、これを裏付けるための法律制度、人間の知的創造によって生み出された成果物に
  一定の期間において権利保護を認める制度が知的財産制度と言われています。

  ② 「知的財産権」の意義
  知的財産権とは、人の知的活動、頭で考えた成果であるアイデア・表現等で経済的な利益
  を対象とする権利と言われています。

  例えば、小説、音楽、絵画、映画や発明、商品のデザイン、ロゴ、営業に関する秘密情報
  と言った財産的価値のあるものです。

 

  
 ★ 知的財産権には保護する対象によって以下のとおりに分類することができます。

   新しい電化製品の発明は、特許権で保護され、特許法の対象となります。

   テレビ・携帯電話のデザインは、意匠権で保護され、意匠法の対象となります。

   自動車の空気抵抗を少なくした考時案は、実用新案権で保護され実用新案法の対
   象となります。

   ロゴ、サービスマーク、トレードマーク等は商標権で保護され商標法の対象になります。
   さらに、不正競争防止法等の他の法律によっても保護されます。

  
  以上が、産業の発展を内容とした権利であり、産業財産権と言います。また、これらの法
  律が産業財産権法と言われています。

  e 映画、アニメ、音楽、小説等の著作物は、著作権によって保護され、著作権法の対象
   になります。

  著作権法は、著作者の権利保護を図り文化の発展を内容とした法律です。

    植物の新しい品種は、育成者権で保護され種苗法(しゅびょうほう)の対象となります。


    g 半導体集積回路(半導体チップ)の開発は、半導体集積回路配置利用権で保護され
   半導体集積回路法の対象となります。


   商号の紛らわしい使用、消費者の誤認させるようなマネや不正な競争は、不正競争防
   止法の対象となります。

  不正競争防止法は、公正な競争秩序を確保することを内容した法律です。


  ③ 知的財産基本法について
  2002年(平成14年)7月に政府は、知的財産の重要性に鑑み、技術立国を国是とする
  我が国の今後を担うために、「知的財産戦略大綱」を決定し国家戦略として「知的財産
  立国」
を実現するとしています。

  これを受けて、知的財産基本法(平成14年12月4日法律第122号)が平成15年3月
  から施行されています。

    この法律によって、知的財産及び知的財産権の定義が行われました。知的財産基本法
  は、知的財産全般に関して、国の施策を規定しています。                         


    a 知的財産基本法第2条1項
  「この法律で「知的財産」とは、発明、考案、植物の新品種、意匠、著作物その他の人間
  の創造的活動により生み出されるもの(発見又は解明がされた自然の法則又は現象であ
  って、産業上の利用可能うt性があるものを含む。)、商標、商号その他事業活動に用いら
  れる商品又は役務を表示するもの及び営業秘密その他の事業活動に有用な技術上又は
  営業上の情報をいう。 」と定められています。

  この条文の要約すると以下のとおりです。


  イ.発明、考案、植物の新品種、意匠、著作物その他の人間の創造的活動により
   生み出されるもの

  ロ.商標、商号その他事業活動に用いられる商品又は役務を表示するもの

  ハ.営業秘密その他の事業活動に有用な技術上又は営業上の情報


  特に、営業秘密その他の事業活動に有用な技術上又は営業上の情報が法律に知的財産
  に含まれた事は、注目して良いと思われます。


  b 知的財産基本法第2条2項
  「この法律で「知的財産権」とは、特許権、実用新案権、育成者権、意匠権、著作権
  商標権
その他の知的財産に関して法令により定められた権利又は法律上保護さ
  れる利益に係る権利をいう。 」と定められています。

   
  以上が、法律で規定された知的財産並びに知的財産権の意義とされています。

 (2)知的財産権の種類 

         ★ 知的財産権の簡単な概要以下のとおりです。

種 類                    内容・保護対象  保護期間 登録の有無
特許権  特許権は、発明を保護するための権利をいいます。特許は自然法則を利用した技術的思想の創作のうち高度な発明に特許権を付与し、特許権者のみが発明を実施できる権利です(特許法2条)。 登録日から20年(特許法67条)  登録が必要(特許法66条)
実用新案権 実用新案権は、考案を保護する権利です。考案とは、自然法則を利用した技術的思想の創作のうち高度でない小発明です。(実用新案法2条) 登録出願から10年(実用新案法15条)  登録が必要(実用新案法14条)
意匠権 意匠は、物品の形状、模様、色彩またはこれらの結合であり物品のデザインで新規性・進歩性を有することを言います。一定の要件を備えるデザインを登録する事により意匠権が発生します(意匠法2条)。 登録日から20年(意匠法21条)  登録が必要(意匠法20条) 
商標権 商標権は、商標登録を受けた商標の使用を排他的、独占的にできる権利です。商標とは、商品、サービスの標識で立体的形状、色彩からなるものです(商標法2条)。
登録日から10年(商標法19条)  登録が必要(商標法18条)
著作権 著作権は、著作者が著作物を排他的に独占的に利用できる権利です。著作物とは、思想または感情を創作的に表現したもので、文芸、学術、美術、音楽の範囲に属するものとされています(著作権法2条)。 

著作者の死後70年

(著作権法51条2項)

 著作物の創作により発生し、行政庁への登録は不要 (著作権法17条)

育成者権 育成者権は、新たに植物の品質を開発した育成者に、排他的、独占的に利用できる権利です(種苗法2条)。  登録から25年(種苗法19条)  登録が必要(種苗法19条)
回路配置利用権 創作性を有する半導体集積回路の回路装置を排他的、独占的に利用する権利です(半導体集積回路法2条)。
 登録から10年 (半導体集積回路法10条)  登録が必要(半導体集積回路法10条)

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